疾患と検査値の推移
造血幹細胞移植後TMA
大島 久美
1
,
神田 善伸
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター血液科
pp.714-718
発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102500
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はじめに
造血幹細胞移植後の血栓性微小血管障害(thrombotic microangiopathy,TMA)は,造血幹細胞移植後に種々の原因で血管内皮が傷害され,検査値異常や臓器障害をきたす症候群である.その症状は,造血幹細胞移植以外の患者における溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome,HUS)や血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytepenic purpura,TTP)などの血栓性微小血管障害と類似しているが,後述するように治療への反応性や発症機序も異なるものと考えられるようになり,現在は造血幹細胞移植後TMA(transplant-associated TMA,TA-TMA)と呼ばれている.
もともとは血管内皮細胞障害により血栓を形成する病態と考えられていたが,血小板血栓形成ではなく血管内皮障害が病態の本質と考えられるようになっている.そのため,TA-TMAの代わりに移植関連微小血管障害(transplant-associated microangiopathy,TAM)という用語が用いられることもある.
発症頻度はさまざまに報告されており,0.5~76%と幅広い1~3).これは,診断基準が一定でなかったことが原因と考えられる.
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