特集 21世紀の理学療法教育
大学院と今後の展望
嶋田 智明
1
,
日高 正巳
1
Shimada Tomoaki
1
1神戸大学医学部保健学科理学療法学専攻
pp.871-879
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105680
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
1991年(平成3年)の大学審議会の提言に基づき,文部省は同年6月,大学設置基準,短期大学設置基準ならびに大学院設置基準を大幅に改定した.
大学設置基準の改定で,各大学には大学自己評価システムの作成,教育方法,施設・設備の改善が求められるとともに,社会人の修学が容易になるような昼夜開講制,科目履修制度,国内外の他の大学との単位互換制度などの設置も認められるようになり,各大学ともそれぞれに工夫を凝らすようになった.
一方,大学院設置基準の改定により,社会人入学枠の設定,大学院大学の設置などが具体的に進行しており,更に93年の夜間制,昼夜制大学院の拡充の提言により,大学院改革は活発,かつ着実に進んでいる1).
我が国では,現在のところ理学療法学に関する大学院は神戸大学を始めとして7校あり,そのうち博士課程のあるものは広島大学,札幌医科大学それに北里大学の3校のみである.なお,神戸大学大学院医学系研究科保健学専攻(修士課程)(以下本大学院)は平成11年に設置された.
本稿では,以上の点を踏まえ,本大学院を例にとり上げ,その設置の理念・目的ならびに教育・研究の特徴を概説するとともに,大学院生の動向や指導教員をはじめとするその人間関係の重要性,それに社会人入学制度の利点や問題についても触れ,最後に大学院の課題や今後の展望についても言及してみたい.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.