増刊号 これから広がる生理検査・新たにはじまる生理検査
E 呼吸機能検査
4. 呼気NO濃度測定の基礎と臨床
松永 和人
1
,
一ノ瀬 正和
1
1和歌山県立医科大学医学部内科学第三講座
pp.1073-1079
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102218
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はじめに
呼気中に検出される一酸化窒素(nitric oxide,NO)は気道内の上皮細胞やマクロファージにより産生されたNOに由来すると考えられており,健常人においても定常的にNOが呼気中に検出される1,2).NOは一酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase,NOS)によって産生されるが,気管支喘息などの炎症性肺疾患では炎症性サイトカインなどによりNOSが誘導され,多量のNOが産生されるため,呼気中のNOが健常者に比較し高濃度で検出される.このため呼気NOは喘息の診断や治療効果の判定において有用な指標となる3).呼気NO濃度測定は鋭敏に気道炎症をモニターできるだけでなく,簡便かつ非侵襲的であるため小児や高齢者においても繰り返し施行が可能である.そのため今後,呼気NO測定の重要性はますます高くなっていくと考えられる.ここでは呼気NO濃度測定について,原理と具体的な測定方法や臨床上の意義について述べる.
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