Laboratory Practice 病理:細胞像からここまでわかる
体腔液(4) 白血病・リンパ腫
堀内 啓
1
,
牛島 友則
1
,
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.420-424
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101405
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はじめに
体腔液中に白血病あるいは悪性リンパ腫の細胞が出現することは,癌腫に比べれば頻度は低い.しかし,鑑別診断においては,常に念頭に置くべき疾患である.特に小児では,これらの疾患が原因となる体腔液貯留が成人に比べて頻度が高く,重要である.白血病やリンパ腫の体腔への浸潤は,進行した病期に発生することが多いが,時には体腔液の貯留が初発症状のこともある.悪性リンパ腫の場合,体腔以外の部位に腫瘤を形成する原発巣があり,それが体腔へ浸潤することがほとんどであるが,稀に,体腔液中にリンパ腫細胞が出現するが,ほかに腫瘤を形成する原発巣がなく,原発性体腔液リンパ腫(primary effusion lymphoma)とよばれる疾患も知られている.また,白血病・リンパ腫の細胞形態の観察には,パパニコロウ染色(Papanicolaou stain)だけではなく,ギムザ染色(Giemza stain)や免疫細胞化学も重要であり,標本作製の際に留意が必要である.
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