Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる
体腔液(1) 体腔液に出現する非腫瘍性細胞
堀内 啓
1
,
原田 弥生
1
,
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.1320-1323
発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906430
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体腔の解剖-組織学(図1,2)
体腔には,胸腔,腹腔,心嚢,関節腔があるが,本稿では,関節腔を除く体腔について解説する.これらの体腔は,漿膜に覆われた体内の腔であり,その表面には中皮が存在する.中皮は発生学的には中胚葉由来であり,病理学的には非上皮性組織に属する.
組織学的には,中皮細胞の基底側には基底膜が見られる.中皮細胞の下には中皮下層(submesothelial layer)があり,ここには線維芽細胞と共に,豊富な膠原線維や弾性線維が見られる.胸腔と腹腔は,臓側と壁側では漿膜の構造が異なる.臓側の漿膜は,中皮細胞が連続して表面を覆っているが,壁側では中皮細胞が非連続で,そこにstomaという直径2〜12μmの穴があり,リンパ管が開口している.stomaは特に横隔膜の腹側面で発達している.
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