Laboratory Practice 病理:細胞像からここまでわかる
体腔液(2) 悪性中皮腫
堀内 啓
1
,
伊藤 光洋
1
,
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.36-39
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101297
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臨床的特徴(図1,2)
悪性中皮腫は胸腔,腹腔,心嚢の表面を覆う中皮から発生する悪性腫瘍である.アスベストを扱う職業の人に多く発生し,アスベストへの曝露と悪性中皮腫の発生が関連していると考えられている.アスベストへの曝露から発症まで平均35年を要す.好発年齢は50~70歳で,男性が女性より数倍多い.症状は緩徐で,初発症状は胸痛と呼吸困難が最も多い.90%くらいの症例で,病初期に体腔液の貯留を伴い,診断における細胞診の役割が重要となる.予後は非常に悪く,平均生存期間は発症から12~15か月である.悪性中皮腫は,漿膜に多発性の結節として発生し,進行すると漿膜全体に腫瘍が浸潤して肥厚し,体腔内の臓器を取り囲むようになる.組織学的には,悪性中皮腫は多彩な組織像を示し,鑑別すべき腫瘍も多く,診断が難しい腫瘍の1つである.
細胞像(図3~9)―細胞学的特徴
( 1 )豊富な細胞集塊の出現
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