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hCGの特性と測定
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin,hCG)は,分子量約36,700の,主に胎盤(絨毛)から産生される糖蛋白質であり,絨毛性疾患の腫瘍マーカーとしては最も重要である.hCGは92個のアミノ酸残基から成るα-サブユニットと145個のアミノ酸残基から成るβ-サブユニットとの非共有結合によるヘテロダイマーである.hCGのα-サブユニットは,下垂体由来の黄体化ホルモン(luteinizing hormone,LH)や卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone,FSH)のα-サブユニットとその配列がほぼ共通であり,hCGの生物活性を有しているのはβ-サブユニットであるが,それもLHのβ-サブユニットと多くの部分で共通の配列を有している.このようにhCGはLHと類似した構造を持ち,LH受容体に結合してLHに類似した生物活性を発揮する.
hCGβ-サブユニットをコードする6個の遺伝子は,第19番染色体上にLHβ-サブユニットの遺伝子とともに遺伝子群として存在しており,hCGβ-サブユニットはLHβ-サブユニットから分化したものと推定されている1).hCGβ-サブユニットは113位のアミノ酸まではLHβ-サブユニットとほぼ共通だが,それよりC末端側には32個の特異的なアミノ酸残基が付加しており,全アミノ酸残基数もLHβ-サブユニットより24個多い145個である.このC末端の32個のアミノ酸残基をhCGβ-カルボキシル末端ペプチド(hCGβ-carboxyl terminal peptide,hCGβ-CTP)と呼び,この部分に対する抗体が近年の精密な測定に用いられている.このhCGβ-CTPが付加されることにより,hCGはLHよりも分子量・親水性が増し,生物学的半減期が延長して生物活性の向上につながると考えられている.ちなみにhCGの血中半減期は約24時間で,LHの2時間に比べるとはるかに長いのである.
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