特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
内分泌学的検査
性腺
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
岩原 由樹
1
,
久保田 俊郎
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生殖機能協関学
pp.357-359
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104792
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin:hCG)は妊娠の成立・維持に重要な働きをする糖蛋白ホルモンであり,分子量は約37,000でα,β鎖の非共有結合により構成される異分子二量体である.α鎖は下垂体前葉から分泌される黄体化ホルモン(luteinizing hormone:LH),卵胞刺激ホルモン(folliclestimulating hormone:FSH)のα鎖と免疫学的に同一のもので,構造もほぼ同様である.β鎖は145個のアミノ酸配列からなる分子量23,000の糖蛋白であり,LH, FSHなどのβ鎖とは異なっている.特にhCG-β鎖のC末端はLHのβ鎖には存在しないアミノ酸配列があり,hCG-β-CTP(carboxyl terminal peptide)と呼ばれている.
hCGは絨毛のジンチチウム細胞(栄養膜合胞細胞)から分泌され,妊娠の成立とともに急激に増加し,尿中hCGの検出が妊娠診断の決め手となる.hCGは着床周辺期における黄体機能を助け,卵巣での月経黄体から妊娠黄体への変化とその機能維持に重要な役割を果たす.また,妊娠初期での血中または尿中hCGの分泌パターンが異常を示せば,流産や絨毛性疾患などの異常妊娠を知る重要な指標となり,さらに異所性ホルモン産生腫瘍や悪性新生物の診断,ならびに管理における重要な腫瘍マーカーでもある1).
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