増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
3.免疫血清検査
6 ループス抗凝固因子
鏑木 淳一
1
1東京電力病院内科
pp.1212-1214
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101089
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はじめに
ループス抗凝固因子(ループスアンチコアグラント,lupus anticoagulants,LA)をはじめとする抗リン脂質抗体は,現在,後天性血栓症に対する危険因子と考えられている1).LAの研究は,1963年,Bowieらが,in vitroにおいては凝固時間が延長していることにかかわらず,in vivoで血栓症を呈した全身性エリテマトーデス(SLE:systemic lupus erythematosus)を報告し,この要因として,LAを提唱したことに始まる.このLAは,1982年,Shapiroらにより,個々の凝固因子活性を抑制せずに,リン脂質依存性凝固時間を阻害する免疫グロブリンと定義された.1983年,Hughesは,臨床的に,LAが,血栓症,自然流産,中枢神経障害に関連することを指摘した.この報告以降,主に,SLEを対象とする履歴研究から,抗リン脂質抗体陽性例の臨床特徴が明らかにされ,抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome,APS)の疾患概念が明らかにされた.これに伴い,LAの測定は,APSの診断・分類のために必須となった.
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