増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 1 総論
1.血液学の基礎知識
3)凝固・線溶因子とその調節機構 c)凝固阻止因子
鈴木 宏治
1
1三重大学医学部分子病態学教室
pp.656-659
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905410
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はじめに
正常時,循環血液の流動性は維持され,また血液凝固反応は傷害部位に限局化される.この理由は,傷害部位以外での凝固反応は血管内壁上で機能する凝固阻止因子によって制御されることによる.凝固阻止因子はその作用機構からプロテアーゼインヒビターとプロテアーゼに大別される.前者にはアンチトロンビンIII(antithrombin;ATIII)をはじめとするセリンプロテアーゼインヒビター(serine protease inhibitor;SERPIN)によるトロンビン,Xa因子,IXa因子などの阻害反応と,クニッツ(Kunitz)型インヒビターの組織因子(tissue factor;TF)経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor;TFPI)による外因系凝固の阻害反応がある.他方,後者にはプロテアーゼの活性化プロテインC(activated protein C;APC)とその関連因子による凝固補酵素蛋白(Va因子とVIIIa因子)の分解に基づくプロテインC凝固制御系がある.
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