技術講座 生化学
二次元電気泳動法による蛋白質の同定
真鍋 敬
1
1愛媛大学理学部物質理学科分子物質化学
pp.235-240
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100489
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新しい知見
二次元電気泳動は1970年代以降蛋白質の高性能分離法として用いられてきた.二次元電気泳動で分離された蛋白質を同定する方法としては,ニトロセルロースなどの膜にゲル上の蛋白質パターンを電気泳動転写(ブロッティング)後免疫化学的に染色する方法や,ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride,PVDF)膜に電気泳動転写後膜上で蛋白質を染色し,特定のスポット部分を切り出したのちエドマン法(Edman degradation)によりアミノ酸配列を決定する方法が用いられてきたが,いずれも高能率化が困難であった.質量分析法〔MALDI(matrix assisted laser desorption ionization,マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)-TOF(time of flight,飛行時間型)MS(mass spectrometry,質量分析法)およびESI-MS/MS〕は,二次元電気泳動後のゲル上の蛋白質を同定する方法として1990年代後半から広く用いられるようになった.二次元電気泳動で分離された多数の蛋白質スポットを一斉に同定する目的には,現在のところ質量分析法を用いるのが最も効率が高いと考えられる.
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