検査室の安全管理・6
わが国の臨床検査室の安全管理の実態およびマニュアル・その1 臨床検査室の安全管理の実態
石橋 みどり
1
1慶應義塾大学病院中央臨床検査部
pp.763-768
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100094
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はじめに
患者の取り違え,投薬ミス,手術後管理の不適切などの医療事故が社会的問題としてクローズアップされて久しい.これは臨床検査の分野においても同様であり,多くの患者が臨床検査データにより病態の診断,治療経過の観察がなされている状況を考慮すれば投薬ミスなどと同様,重要な課題と考えられる.殊に遺伝子検査,染色体検査,感染症検査など,診断特異性が高く,結果が診断に直結する検査が普及した昨今では検査過誤が重大な医療事故につながる可能性を秘めている.また,採血,生理機能検査など,臨床検査技師が患者に直接,医療行為を行う機会が増加し,患者との接触から派生するインシデントも増加傾向にあり,臨床検査の安全対策確立が急務となっている.
今回,「臨床検査室の安全管理」シリーズでは,「わが国の臨床検査室の安全管理の実態およびマニュアル」というテーマで2回にわたり,その1「臨床検査室の安全管理の実態」と,その2「臨床検査室の安全管理指針」について,厚生労働省科学研究班での研究結果の概要を紹介しながら臨床検査室の安全管理について述べてみたい.
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