特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査
3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査
B.各論 2)TPA
越智 幸男
1
Yukio OCHI
1
1滋賀医科大学医学部附属病院検査部
pp.1334-1338
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917608
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性状
1957年,Björklundがヒト腫瘍および胎盤から精製した腫瘍マーカーである1〜3).TPAは単純蛋白質であり,糖や脂質を含まない.電気泳動では,β—グロブリンの易動度をもち,等電点は4.8である.α—ヘリックス構造を有している.アミノ酸は,アスパラギン酸,グルタミン酸,ロイシンの含有量が多いが,システインが少ない.活性に必要なアミノ酸は,チロジン,アルギニンである.
TPAは溶解しにくく,溶液の状態では凝集する傾向がある.SDSでのゲル濾過によって数個の分画(分子量:43,000,30,000,17,000)に分けられる.この分子量43,000のTPAB1は1本のポリペプチドで,380のアミノ酸から成り,主要アミノ酸は,グルタミン,グルタミン酸,アスパラギン,アスパラギン酸,ロイシンである.システインとシスチンは見いだされていない.
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