特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査
3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査
B.各論 19)PAP
町田 豊平
1
,
池本 庸
1
Toyohei MACHIDA
1
,
Isao IKEMOTO
1
1東京慈恵会医科大学泌尿器科
pp.1397-1400
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917625
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はじめに
1936年にGutmanら1)が血清酸性ホスファターゼが前立腺癌で上昇することを見いだして以来,血清酸性ホスファターゼは前立腺癌の診断や,治療後の経過観察の指標として注目され用いられてきた.しかし,酵素法による酸性ホスファターゼ測定は検体の取り扱い(溶血など)や,酵素活性の不安定性,さらに偽陰性が多いなどのため,臨床的評価はいま一歩であった.しかし1970年代後半から,前立腺にのみ由来する酸性ホスファターゼ(prostatic acid phosphatase, PAP)の免疫学的な臓器特異性が解明されると,ラジオイムノアッセイ(RIA)やエンザイムイムノアッセイ(EIA)などの免疫学的測定法が次々と開発された.これらの免疫学的定量法は特異性,感度,安定性などの点で明らかに酵素法より優れ,その有用性が高く評価され,今日に至っている.
以下に前立腺由来酸性ホスファターゼ(PAP)の性状,測定法,臨床的意義,問題点を教室での経験を中心に述べる.
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