特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査
3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査
B.各論 3)BFP
石井 勝
1
Masaru ISHII
1
1埼玉県立がんセンター臨床検査部
pp.1338-1341
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917609
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
BFP (basic fetoprotein;塩基性胎児蛋白)は,1974年筆者1,2)によりヒト胎児の血清,腸および脳組織中に見いだされた,γ-グロブリン分画に電気泳動される蛋白である.本蛋白は分子量55,000,等電点8.5〜9.15の塩基性蛋白である3).
BFPは生化学,免疫組織化学的研究により胃癌,結腸癌,原発性肝細胞癌,肺癌,乳癌,腎癌,膀胱癌,睾丸癌,子宮癌,卵巣癌,白血病細胞など広範囲の諸種の悪性腫瘍に存在し,主に原形質に局在することが明らかにされている4).1982年にはBFPのモノクローナル抗体が作製され5),これを用いた酵素免疫学的測定法(EIA)が開発され,BFPの腫瘍マーカーとしての有用性が検討された3).その結果,BFPは原発性肝癌,膵癌および胆嚢・胆管癌などの消化器癌,肺癌,腎癌,睾丸癌,前立腺癌,卵巣癌および子宮癌などの泌尿生殖器癌などbroad spectrumな腫瘍マーカーとしての有用性が報告7)されている.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.