特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査
3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査
B.各論 1)CEA
大倉 久直
1
Hisanao OKURA
1
1国立がんセンター病院臨床検査部
pp.1331-1333
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917607
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
CEA (carcinoembryonic antigen;癌胎児性抗原)は1965年Goldが大腸癌から抽出した,分子量約20万の糖蛋白である.その後,CEAが単一の抗原でなく,CEAと抗原の一部を共通にもった類似抗原が,正常糞便,胎便,胆汁,肺組織などに存在することが知られ,NCA,NCA2,BGP−1,NFAなどと命名された.最近,精製抗原の解析からその抗原決定基(エピトープ)の構造が明らかにされ,ペプチド鎖を作る遺伝子が合成された.その結果からも,CEAと関連抗原の構造の類似性が明らかであって,最も特異性が高いとされているモノクローナル抗体でも,一部の非癌組織と反応する.したがって,われわれが日常測定しているCEAとは,癌と胎児細胞で作られる一定の共通抗原エピトープをもったCEAグループ糖蛋白分子の総称といえよう.またCEAは大腸・直腸癌だけでなく,胃癌,乳癌,肺癌などの多くの腺癌と甲状腺髄様癌でも産生される.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.