特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査
1 ウイルスに関する検査
B.癌関連ウイルス 3)Epstein-Barrウイルス(EBV)
巽 英二
1
Eiji TATSUMI
1
1神戸大学医学部臨床検査医学教室
pp.1267-1272
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917595
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はじめに
Epstein-Barrウイルス(EBV;ヘルペス・ウイルス属)の既感染が,①遺伝子(DNA),②遺伝子由来産物(抗原),③形態観察(電顕),④試験管内生物活性,⑤細胞性免疫,⑥血清学,などに基づいて証明されることは,他の遺伝子継続存在型(持続または潜伏)感染をするウイルスと同様である.EBV感染は,ⅰ初感染,ⅱ正常既感染状態,ⅲ再活性化,を区別して意識する必要があり,さらにⅱまたはⅲを前提として,EBVが多くの他の因子とともに腫瘍化に関与し,ⅳ腫瘍の担EBVが問題となる.良性に経過しつつある炎症性疾患の鑑別にⅰ (すなわち伝染性単核球症,以下IM)を問題にする場合は⑥で事足りるが,種々の免疫不全を伴うⅰやⅲの診断確定,そしてⅳが検索対象の場合,①から⑥を状況に応じ材料を選んで適用していくことが必要となる.
以下,EBVに関係した臨床材料の検索について概説する.
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