技術解説
ラジオアイソトープによる臨床検査
松村 義寛
1
MATSUMURA YOSHIHIRO
1
1東京女子医科大学生化学教室
pp.687-692
発行日 1964年9月15日
Published Date 1964/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916806
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アイソトープとは原子番号が同一の核種であって質量数の異なるものをよぶのである。例えばリンは生体中にあるときはH2PO4—の形のものかHPO4—の形で存在しているものが多いがそのPの原子番号は15で質量数はすべて31のものばかりである。すなわち天然のリンのアイソトープはただ一種のみである。これに対して水素には質量数1のHと質量数2のD (重水素)とがあり,酸素には質量数16,17,18の三種のものが存在している。いずれも天然の元素であり,化学的にはHもDも水素として行動し,0-16,0-17,0-18はいずれも酸素として作用する。
通常の水はH2Oで表わされるが,これらのアイソトープをすべて分離してみると,H—16O-H H—16O-D D—16O-DH—17O-H H—17O-D D—17O-DH—18O-H H—18O-D D—18O-Dの9種類のものがありそれらの混合物が通常の水を構成しているのである。
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