私のくふう
スプリングを利用した稀釈器
熊城 一男
1
1岡山県衛生研究所
pp.1007
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916561
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臨床検査のうち,特に血清検査において一番煩雑な操作は稀釈操作であろう。たとえば梅毒検査において口で吸ったり吐いたりして稀釈を行なっていると,時として口の中に生暖かい塩辛いものが入ってくる。自分の操作の不注意とはいえ,気持の良いものではない。自動稀釈装置もあるときくがまだ使用経験がない。多種類の稀釈を行なう場合は,そう簡単ではないと思われる。私はガラス板法の定量における稀釈を1mlの注射器と輸血針および遠心分離器のカーボン押さえのスプリングで簡単な稀釈器を作り,稀釈に作用して,口で行なうより迅速・簡便で重宝しているが,他検査の稀釈にも注射器の種類を変えることにより簡単にできると思われるのでここに紹介し,諸兄のご批判を仰ぎたいと思う。
針先は1)輸血針を使用し,注射針を適当な長さに切る。切る場合はヤスリで傷を入れて折る(ペンチで切ると穴は潰れてしまう)。注射器はスプリングの長さに応じて適当に切る。たとえば0.2mlの倍に稀釈を行なう時は,スプリングを離した状態が0.2mlよりやや多く入る状態にする。2)そして,軽くスプチングに手を当てた時に0.2 mlとなるようにスプリングの長さを加減する。3)スプリングを押した時に,スプリングの厚みのために注射羅の内筒が全部入らない時はヤスリで傷を入れて,熱いガラス棒を当てると簡単に切れる。4)切り落とした後を火であぶると,注射器の筒が曲がる恐れがあるので,角を落とす時はヤスリなどで磨く。
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