特集 免疫学的検査の進歩
Ⅰ.免疫不全
好中球
1.走化能
辻 芳郎
1
,
野田 弘之
1
1長崎大学・小児科
pp.1145-1147
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915249
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生体における細菌感染防御機構の中心となるのは好中球である.好中球は骨髄で産生され血流に入り循環し,血管壁に付着しその間隙から組織中に出て,炎症があればその部に移動する.細菌を貪食し殺菌し消化することでその目的を果たしている.このような過程のいずれかに障害があると細菌感染に罹りやすくなる.その過程の一つである走化能検査について述べる.
好中球の走化能をみる場合には好中球自身の走化性と,血清成分中の走化性に関係ある因子とについて検査しなければならない.好中球の運動には,走化性因子(chemotactic factor)の濃度勾配に逆らって方向性をもって移動する走化能(chemotaxis)と,均等な濃度の走化性因子の中で運動するchemokinesisと,走化性因子に無関係に方向性を持たない運動をする随意運動(random migration)とが知られている.
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