特集 アイソザイム検査
II.各論
28 5′-ヌクレオチダーゼ
保崎 清人
1
Seijin HOSAKI
1
1東京医科歯科人学医学部臨床検査医学講座
pp.1399-1402
発行日 1988年10月30日
Published Date 1988/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913816
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はじめに
5′-ヌクレチオダーゼ(5′-NT)のアイソザイムに関する研究は現在までのところ十分ではなく,その知見も限られている.特にヒト血清中の5′-NTのアイソザイムの臨床検査の立場からの実用的な知見は,きわめて限定されている.一方,ヒト赤血球中に存在する5′-NTについては,血清中に認められる膜酵素由来のものと異なった独特の酵素が細胞質(cytosol)に存在することが明らかにされ,そのアイソザイムに関する知見や遺伝的疾患との関連についての知見も発表されている.また白血球中の5′-NTについては,リンパ球の免疫機構との関連で注目されている.そのほか,ラットやニワトリなどの動物の肝などの細胞質に存在する5′-NTについては,比較的詳細な酵素的特性に関する報告が見られている.しかし,総体的にみて5′-NTのアイソザイムに関する臨床検査領域で利用しうる知見,特に血清に関する知見は,きわめて限られているといえよう.
そこで本稿では,具体的分析技術に関する部分は簡単に触れるにとどめ,ヒトおよび動物における5′-NTのアイソザイムに関する一般的知見を概説する.
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