特集 アイソザイム検査
II.各論
7 アルカリ性ホスファターゼ
坂岸 良克
1
Yoshikatsu SAKAGUCHI
1
1埼玉医科大学生化学教室
pp.1262-1271
発行日 1988年10月30日
Published Date 1988/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913789
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はじめに
生理的条件とかけ離れた反応には乳酸脱水素酵素の乳酸からの反応(pH9.5),クレアチンキナーゼのクレアチンからの逆反応(pH9.0)があるが,一方的にpH10付近でのみ働くアルカリ性ホスファターゼ(ALP)には一種神秘的なものが感じられ,しかも測定・検出の容易さから限りない親しみを感じる者は少なくないのではなかろうか.鈴木梅太郎(1907)の記載に始まる本酵素は大森喜久(1937)のエピソードもあり,ぜひとも解明したい酵素の一つである.
本酵素は酸(性)ホスファターゼ(acid phosphatase)と対応してアルカリホスファターゼと記されることがあるが,‘alkali’ではなく‘alkaline’なので,アルカリ性ホスファターゼのほうが正しい呼称と考えられる.また,人工基質であるρ-ニトロフェニルリン酸(P-NPP)を基質とすることもあるので,p-ニトロフェニルポスファターゼの一つでもあるわけであるが,フェニルリン酸,その他多くのリン酸エステルを水解するので,そのような分類は採用されていない.
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