異常値の出るメカニズム・44 酵素検査(4)
アルカリホスファターゼ
玄番 昭夫
1
Teruo GEMBA
1
1中央鉄道病院中央臨床検査室
pp.2145-2150
発行日 1981年12月10日
Published Date 1981/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217558
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正常血清アルカリホスファターゼの由来
正常成人血清アルカリホスファターゼ(alkalinephosphatase,A1P,EC 3.1.3.1)の大部分はA1P2型,一部分はA1P3型から成り,また正常小児血清では大部分がA1P3型,一部分がA1P2型である.そして正常人でも血液型がBまたはO型の場合は,痕跡のA1P5型を認めることがあり,また妊娠後半期の婦人ではA1P4型が増加してくる.
ここでA1P3型は骨由来,A1P4型は胎盤由来,A1P5型は小腸粘膜由来の各A1Pである.問題になるのはA1P2型の由来に関してである,肝疾患の際にA1P2型が血中に増加してくることから,このときの由来は肝であるとしてまず間違いないが,正常の場合のA1P2型がすべて肝由来であるという確証はない.それは図1の臓器分布からも想像できるように,正常血清A1Pの供給源としての肝の含有量はいささか物足りないように思われる.正常人で食事,とくに脂質に富む食事をした後に血清A1Pが増加してくることが知られている1,2),そして小腸粘膜には図1のようにA1Pが豊富なことから,小腸A1P-カイロミクロン結合物が肝に到達し,Kuppfer細胞で代謝的変化を受けてA1P2型ないしその類似型に転換し,そしてその一部が大循環系に移行するのではないかとも考えられている2).
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