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アルカリ性ホスファターゼ
小山 岩雄
1
,
菰田 二一
2
1埼玉医科大学短期大学・臨床検査学科
2埼玉医科大学第一生化学教室
キーワード:
アルカリ性ホスファターゼ
,
活性酸素種
,
分子切断
Keyword:
アルカリ性ホスファターゼ
,
活性酸素種
,
分子切断
pp.843-844
発行日 1996年7月15日
Published Date 1996/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902978
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近年,遺伝子工学の発展によりアルカリ性ホスファターゼ(AP)に関して構造や遺伝子上での研究が著しく進歩した.すなわち,臓器非特異型APに分類される肝・骨・腎型遺伝子は染色体1P34→36.1領域に存在し,約50 kbで12個のエクソンと11個のイントロンよりなる1).肝型と骨型AP遺伝子の大きな違いは,プロモーターを含むエクソン1に存在する肝型特異的エクソン1Lと骨型特異的エクソン1Bにあるが,筆者らの成績からは腎型AP遺伝子は骨型APに類似していた.ただし,これらのAP蛋白一次構造は同一とされているので,臓器非特異型AP間の差異はそれらが持つN-結合型糖鎖が互いに異なることにあり,さらにその糖鎖構造が癌性変化することを筆者らは報告してきた.最近,ラットAH-130肝癌細胞から得たAPのN-結合型糖鎖構造によれば,正常肝APよりもフコシル化した高マンノース型と混成型が増加するらしい2).
しかしながら,依然としてAPの生理的意義については不明な点も多い.しかし注目すべきは,最近の報告よりマウス臓器非特異型APは,ピリドキサルリン酸(ビタミンB6の代謝に直接関与するという点である3).
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