異常値の出た時・20
アルカリ性ホスファターゼ
坂岸 良克
1
1埼玉医大生化学
pp.852-858
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908629
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Robinson(1924)1)が化骨部位におけるアルカリ性ホスファターゼ(Al-P)の高活性を報告してから,Kay (1929)2)が骨疾患の診断に血清Al-P活性の上昇を利用し,また,Roberts (1930)3)が肝胆道疾患の指標にこの活性を取り上げて以来,かなりの年月を経ているのに,その後Al,P活性の臨床的応用にそれほど著しい進歩が見られなかった理由は,血清Al-Pの由来が多様であったこと,すなわち細胞からの逸脱酵素ではなく,むしろ分泌あるいは漏出され,あるいは胆汁からの血液への逆流などによるためと思われる.最近になって急速にAl-Pアイソザイムの分離法が進歩し,酵素の精製法も容易になり,血清Al-Pの由来を考慮しつつ解析することができるようになつたため,検査値のより臨床的な解釈が可能となってきた.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.