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糖蛋白質,糖脂質,プロテオグリカン(ムコ多糖)などの,複合糖質の分解にあずかる酵素は,先天性代謝異常症の原因酵素としてよく知られている.その遺伝子クローニングも現在盛んに行われ,遺伝子診断や遺伝子治療などで脚光を浴びている.遺伝子構造が明らかになるにつれ,遺伝子の側からアイソザイムの存在が逆に明らかとなり,病気の解釈に新しい面を拓くといったことも起きている.また,糖脂質糖鎖の分解酵素には蛋白性の活性化因子を必要とするものがあり,その異常が代謝異常の原因となっている例が知られている.この遺伝子クローニングも精力的に行われつつある.
分解酵素の多くはリソソームに存在するが,これとは異なり,細胞の形質膜に存在する分解酵素も最近知られるようになった,例えば,シアル酸の結合を切るシアリダーゼの形質膜型では,リソソーム型では切れない糖脂質結合性シアル酸を切る.だが,その生理的意義はわかっていない.Golgi装置で生合成された糖蛋白質や糖脂質は,生合成された後,形質膜やリソソームを含めて種々の細胞膜系に組み込まれるが,それがどのようなしくみで特定の送付先へと振り分けられてゆくのかが現在盛んに研究されている(細胞内ソーティング).他方,形質膜にいったん組み込まれた糖鎖分子,あるいは,外部から細胞に与えられ形質膜に取り込まれた糖脂質などが,その後どのような運命をたどるのか,その寿命は,といった問題がようやく関心を引きつつある.このような外因性糖脂質が,細胞増殖因子の受容体の活動を制御したり,白血病細胞を正常化の方向に分化誘導したり,また,種々の生理活性を示すことが最近知られるようになって,この問題への関心がにわかに高まっている.
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