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核酸分解酵素はヒトの各組織細胞や,血清および尿などの体液中に広く分布し,核酸の組織内分解や消化吸収に関与しているだけではなく,プロセッシング酵素やスプライシング酵素として遺伝情報発現に際し特異な役割を果たしている.最近,ヒトの核酸分解酵素のうち,特に著名なデオキシリボ核酸分解酵素I (DNase I)やリボ核酸分解酵素(RNase)に遺伝的多型性の見られることが明らかにされ1~4),これらの多型性酵素の人類遺伝学や臨床診断における有用性が注目されている.
DNase Iは,DNA鎖の両端から離れた部位のリン酸ジエステル結合を水解し,5'末端にリン酸基を持つオリゴヌクレオチドを生成するエンドヌクレアーゼの1つである.ヒトの場合,本酵素は主に膵臓で産生され,血清や尿中に認められるが,尿中の酵素活性は血清中のそれに比較してきわめて高い.ヒトDNase Iは,主に尿から単離,精製されたものについて詳細な生化学的検討がなされている5,6).しかし,DNase Iアイソザイムの簡便な分離・分析法がなかったことや臨床検査および人類遺伝学的検査に主として利用されてきた血清中の酵素活性が低く,含有量も少ないこともあって,遺伝学的な面,例えば遺伝的多型性の存在に関する研究はまったく考慮の対象となることはなかった.最近,われわれの研究室では,分解能の高い薄層ポリアクリルアミドゲルを支持体とした等電点電気泳動法(IEF-PAGE)と特異性の高い免疫プロット法または高感度な活性染色法とを併用した2種類のDNase Iアイソザイムの分析法を確立した2・7).新たに開発した活性染色法の手順および原理は次のようである.溶解寒天,DNAおよび臭化エチジウムの混合液を,アクリルシート上にひろげて固化,乾燥してフィルム状にしたものを泳動後のIEF-PAGEゲル上に密着させる.DNase IによるDNAの分解に伴いDNA一臭化エチジウム複合体の発する蛍光が減少することを利用した方法であり,きわめて高感度で汎用性がある.
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