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第62回日本感染症学会総会は,4月21日,22日,23日の3日間,名古屋市鶴舞公園内の名古屋市公会堂の大ホールを主会場として開催された.今学会は,外科系の由良二郎名古屋市立大学教授が学会長として企画され,特別講演2,教育講演2,招請講演2,シンポジウム4,一般演題290(要望演題:ブランハメラ6,周産期感染症9,細菌の付着・定着7,特異な外科感染症3を含む)と盛りだくさんの内容であった.
これまで本学会は,細菌,ウイルス,クラミジア,リケッチア,原虫,寄生虫などの感染性微生物に起因する感染症全般を包括し,発表内容も感染症の発症メカニズム,治療法,診断法,症例報告および疫学などの広域な演題が報告されてきた.今回は,細菌関係が全演題数の約70%,ウイルス関係が18%を占めており,中でも今話題となっているAIDS関連13題,MRSA 5題,つつが虫10題,院内感染5題,Campylobacter pylori9題であった.さらに,診断法に関する報告が27題あり,この中には今後検査室に導入される可能性が高いハイテクニックの診断法も含まれている.また診断法に関しては,吉川昌之介東京大学医科学研究所細菌研究部・教授が「細菌の病原性の分子遺伝学とその同定」と題した教育講演で,細菌学におけるDNAプローブを用いた病原性因子の解析と検出法および同定学への応用を,さらに,抗生物質耐性遺伝子由来プローブ作成に伴い迅速有効薬剤選択法の実用化への可能性について講演された.一般演題では,DNA分析法の新しい試みとして岡山大学医学部の荒尾雄二郎氏が「パルスフィールド電気泳動を用いたウイルスの分子疫学(DNA分析の簡便,迅速化)」の報告で,ウイルス感染細胞を蛋白分解処理した後,DNA抽出や制限酵素切断などの操作なしにヒトサイトメガロウイルス,単純ヘルペスウイルス,水痘・帯状ほう疹ウイルスを,ウイルス分離やハイブリダイゼーションの操作なしに直接ウイルスの存在を判定できたと報告している.この方法は,ウイルス性上皮感染症の診断に有用と思われるために今後の研究の進展を期待したい.三菱油化メディカルサイエンスの渡沼稔氏は,「MTT法による中和試験の自動判定」と題する発表で,従来多大な時間と人手を要していたウイルス中和試験の判定をMTTを用い,自動判定が可能な多検体処理法を報告している.
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