同人放談
研究に夢を
九嶋 勝司
1
1東北大学
pp.962-963
発行日 1960年10月10日
Published Date 1960/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202305
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「色々の人の研究のやり方を見てると,先人のやつたことを拡大強化するような研究法をとる人と,新しいアイデアの下に新分野を拓こうとする人とがある。例えて見れば,前者は,従来の細道をコンクリート道路に作りかえようとする努力であり,後者はアルピニストの如く,如何にして高峰へ登る道を発見しようかとする行き方である。何れが有益であると断ずることは出来ないが,コンクリート道路作りは,巧拙をしばらくおけば,人夫だけでもやり得るであろう。研究者と自称する限りはアルピニストでありたいものである。」筆者は教室員と時々このように語りあつて,研究に夢を持たすべく努めている。
現状を総て肯定して,満足している者には夢が生れない。先人の業績でも,学界の常識でも一応批判の対象とせねばやまぬ反骨精神のみが夢とつながる。
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