連載 りれー随筆・214
メコンの風に思いを馳せて
森兼 真理
1
1聖バルナバ助産師学院
pp.874-875
発行日 2002年10月25日
Published Date 2002/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902972
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国立カンボジア母子保健センター
私はかつてカンボジアの国立母子保健センターに2年間赴任したことがある。カンボジアの風景と,出会った助産婦の顔を思い出して綴ってみたい。
国立母子保健センターは,産科と婦人科,NICUを有し,ベッド数は150床。お産は少ない日でも20件,多い日は30件以上ある。約80人の助産婦,70人の看護婦が勤務しており,彼らは4日に1度の24時間当直制。その代わり当直以外の土日は休み。午後から気温が高くなるため,ナースステーションにボンボンベッドを出して体を休める。患者さんの部屋を覗くと幅の広いベッドに褥婦,新生児,上の子供,夫らが所狭しと昼寝をしている。天井の大きな扇風機がパタパタと音をたてて回っている。スタッフは出産や救急患者が続くと休む暇もないが,暑さに身をなじませつつ彼らのスピードで仕事をこなしている。
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