特集 生検の進歩
I 臓器別生検
ii 細胞診
1 穿刺生検細胞診—2 肝
和田 昭
1
,
山本 玲子
2
Akira WADA
1
,
Reiko YAMAMOTO
2
1大阪府立成人病センター
2大阪府立成人病センター研究所第2部
pp.1290-1297
発行日 1987年10月30日
Published Date 1987/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913476
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はじめに
超音波映像下に細径針を用いて行う肝穿刺吸引細胞診は,肝癌を診断することが主目的であるが,本稿では対象を原発性肝細胞癌(以下,肝癌)に限って述べてみたいと思う,画像診断技術の進歩により,最近ではきわめて小さな病巣の発見が可能となり,組織学的・細胞学的にその良・悪性の決定にきわめて高度の鑑別技術が要求されるようになってきた.そのため,細胞や組織の深い読みがいっそう要求されるわけであるが,これにはいかにきれいな標本を作製するかということが鍵となる.
われわれは,細径針により採取された材料の処理方法にくふうを加え,組織標本を作製すると同時に,立体的な組織構築を平面的な細胞配列に置き換える方法を試み,これらの所見が肝癌の細胞学的診断にきわめて重要な意義をもつことを明らかにした1).以下にその標本作製法ならびに観察成績について述べる.
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