今月の主題 制癌剤と臨床検査
カラーグラフ
白血病における血液の形態と制癌剤
大竹 順子
1
Yoriko OHTAKE
1
1順天堂大学附属順天堂医院中央臨床検査室
pp.1030-1031
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913420
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急性白血病では,芽球が多数出現することが多い.この芽球は普通染色(Wright, Giemsa染色)などで,通常,核胞体比が大,核小体が存在する.細胞質に顆粒がないか,あっても少数などの一般的な芽球の定義にあてはまる.
白血病患者では経過中に出現する芽球や他の白血球に形態変化が起こることをしばしば経験する.これは急性白血病の治療剤として用いられる種々の制癌剤の影響と考えられ,その形態変化は個々の患者により異なる,急性白血病治療剤には作用機序の異なる種々の薬剤がある.そして病型に応じて用いられる薬剤が臨床的にほぼ決まっている.急性白血病は,正常細胞と混在する白血病細胞をともに絶滅するtotal cell killingの考えで治療が行われる.そのための投薬の種類,量,組み合わせが種々考えられている.経過中にしばしば経験する形態異常は,白血病細胞の核や細胞の形が不整形となったり,核のクロマチンパターンの変化,顆粒の色調,大きさの変化,顆粒の偏在,細胞の空胞変性などがある.血小板は,著しく大型や,青色の染色性を示すものが出現することがある.
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