今月の主題 制癌剤と臨床検査
カラーグラフ
フローサイトメトリーによる細胞回転と制癌剤の作用の分析
高倉 公朋
1
Kintomo TAKAKURA
1
1東京大学医学部脳神経外科教室
pp.1032-1033
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913421
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フローサイトメトリーを用い,制癌剤の薬理作用を検査する方法が進歩している.もっとも一般的で簡単な方法は図3〜4に示したような細胞回転に応じた細胞のDNA量と細胞数を表示する方法で,制癌剤が,各腫瘍細胞回転のどの期に作用するかを明らかにすることができる.さらに腫瘍細胞の分裂状態(cell kinetics)を詳細に調べるためには,ブロモユリジン(BrdU)をDNA合成期に取り込ませたのち,一定時間毎に抗BrdU抗体を用いて細胞を染色し,図1,2に示したようにDNA量,取り込みBrdU量と細胞数の3パラメーターを同時に測定する二次元表示法が有用である.この方法を用いると細胞世代時間,S期細胞動態などの測定から,制癌剤の作用を一層詳細に調べることが可能になる.この方法は従来の3Hチミジンを用いる分析法と比較して,アイソトープを使わずに短時問に,容易かつ正確に細胞回転を分析できるので,きわめて優れた検査法であると言えよう.
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