今月の主題 リウマトイド因子
総説
リウマトイド因子
塩川 優一
1
Yüichi SHIOKAWA
1
1順天堂大学
pp.623-627
発行日 1987年6月15日
Published Date 1987/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913342
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リウマトイド因子の概要
リウマトイド因子(rheumatoid factor;RF)は,慢性関節リウマチ(以下RA)の血清中において発見された,特殊な蛋白質である.これは現在,血清中の免疫グロブリン,IgG分子のFc部分上にある抗原決定基に対する自己抗体であることがわかっている.RFは,1940年代にWaaler,ついでRoseによって発見された.すなわち,ウサギ抗体によって感作されたヒツジ赤血球が,RA患者の血清によって凝集されることより,RAに特異的な因子の存在を推定したのである.やがて,これは自己抗体であることがわかったが,RFの名称は残されている.
最初は,RFはRAの原因であるとされた.しかし,やがて,RFは決してRAに特異的ではなく,そのほかの疾患にも見られることがわかった.現在では,RF以外にも,IgGの種々の抗原決定基と結合する免疫グロブリンが知られている.しかし,これらは,抗グロブリン因子と呼ばれ,RFとは区別されている.
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