今月の主題 画像診断
検査と疾患—その動きと考え方・87
膵癌
松野 正紀
1
,
佐々木 浩一
1
,
小寺 太郎
1
,
佐藤 壽雄
1
Seiki MATSUNO
1
,
Koichi SASAKI
1
,
Taro KODERA
1
,
Toshio SATO
1
1東北大学第一外科
pp.316-323
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912149
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はじめに
膵癌は消化器癌の中で,もっとも診断の困難なものの一つとされてきた.その理由として,膵癌には特有の症状が無く,初期にみられるのは不定の腹部症状であることが多いため,膵癌を疑うきっかけがつかみ難いことが挙げられる.さらに,従来の膵の形態学的診断法は動脈造影をはじめとして侵襲の大きいものが多く容易に施行できなかった点も,診断の困難性に拍車をかけるものであった.
しかし近年,超音波検査法やCT (computedtomography)が開発されるに及び,その様相は一変したと言っても過言ではない.特に超音波検査法は無侵襲であるうえに外来でも容易にできる利点があり,解像力の飛躍的な向上と相まってスクリーニング検査法として広く行われるようになった.それに伴い,膵癌症例も発見率が向上しているのが現状である.
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