今月の主題 血液凝固検査と合成基質
検査と疾患—その動きと考え方・80
血液凝固異常と肝疾患
前川 正
1
,
塚田 裕幸
2
Tadashi MAEKAWA
1
,
Hiroyuki TSUKADA
2
1群馬大学医学部第3内科
2群馬大学医学部内科
pp.891-897
発行日 1983年8月15日
Published Date 1983/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911940
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はじめに
肝は多くの血液凝固因子の生成部位であるので,肝疾患では種々の凝固障害がみられることはよく知られている.その成因としては凝固因子の生成障害のほか,出血や腹水貯留などによる凝固因子の喪失,線溶亢進,さらに凝固活性を持つ肝組織の崩壊による凝固活性化が,活性型凝固因子や中間産物の処理障害および凝固抑制因子の生成障害を背景としてもたらす凝固因子の過剰消費などが推定されている.さらに消費の亢進や脾腫のある場合には,それへの分布による末梢血中の血小板数減少も加わり,顕在性あるいは潜在性出血傾向を招来することがある.これらの異常が顕著であるのは肝硬変症や劇症肝炎であるので,それぞれの症例を呈示したうえで,肝障害時の凝固障害につき総括したい.
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