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特集 外科とくすり—副作用と適正な使用法
抗凝固剤使用の実際
Practice of treatment with anti-coagulant agents in surgical field
前川 正
1
Tadashi MAEKAWA
1
1群馬大学医学部第2内科
pp.643-648
発行日 1971年4月20日
Published Date 1971/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205345
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はじめに
抗凝血薬とは血液凝固を阻害することを目的とした治療薬と考えられるので,ヘパリンおよびHeparinoid,Coumarin系およびIndandione系の経口抗凝血薬がこれに属すると考えられる.最近Malayan pit viper venomによつて血漿フイブリノーゲンを殆ど零とする強力な抗凝血療法も行なわれており,これも抗凝血薬に加えることができる.これらの抗凝血薬で血栓または塞栓の発現を予防し,血栓の成長を阻止することは期待し得るが,一旦形成された血栓塞栓の溶解を期待し得るのは線溶療法であり,これに使用されるプラスミン製剤も広義の抗凝血薬とみなすことができる.これらの薬剤は内科においてのみでなく,外科領域でも広く使用されている.たとえば人工心肺のように体外循環路を使用する手術あるいは血管外科等ではヘパリンが必須である.他方,手術あるいは外傷後の安静臥床患者に静脈血栓が併発し易いことが欧米諸国では常識となつている.本邦ではまだその併発率は低いが,近年増加傾向が指摘されているので抗凝血薬療法を必要とする患者数も増大すると考えられる.
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