特集 臨床検査室マニュアル
Ⅴ.検査データからみた疾患の特徴
痛風
西沢 常男
1
1日赤医療センター内科,リウマチ・アレルギー科
pp.1256-1257
発行日 1976年11月1日
Published Date 1976/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909556
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1.概念
本症の経過は急性発作期,高尿酸血症を特徴として症状を欠く間歇期,慢性痛風性関節炎の3つの病期に分けられる.治療法ばかりでなく,臨床検査データも各病期によりそれぞれ特徴がある.急性発作期は一般の急性炎症と同じで,赤沈亢進,白血球増加,CRP陽性の所見を呈する.発作時に特徴的なのは,罹患関節の関節液の性状である.間歇期に最も特徴的なのは,本症診断の重要な根拠となる高尿酸血症である.血液中の尿酸値は必ず高値を示すが,尿中尿酸排泄量は必ずしも多くない.尿酸排泄量は食事中のプリン含有量の影響を強く受け,正確には無プリン食下での排泄量を測定しなければならない.アメリカでは無プリン食のもと,628mg/日,あるいは600mg/日を正常値上限としている.1,500mg/日もの排泄量を示す痛風患者もあるが,腎機能の低下した患者の尿酸排泄量は200mg/日前後である,21〜28%の患者が正常値以上の排泄量を示す.尿所見では酸性尿が比較的特徴的で,加賀美の報告によると患者の67%が尿pH5.5以下であった.腎機能障害は痛風患者の約30%にみられるが,各種腎機能検査中,尿濃縮力試験,あるいは尿浸透圧値で示される遠位尿細管機能が初期よりかなり高率に侵される(46〜64%).
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