Senior Course 病理
—病理検査の技術と知識—染色 Ⅱ
橋本 敬祐
1
1順大・病理
pp.564-565
発行日 1976年5月15日
Published Date 1976/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909384
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エオジン(つづき)
前号で明らかなように,色素の正確な化学名は長い場合が多いし,染色性という特性から見たまとめ方が重要でもあり,むしろ商品名と考えなければならぬことが多い.例えばメチルブルーはsodium triphenyl-p-rosani-line trisulphateだからメチル基はもっていない.メチレンブルーはtetrarnethyl-thioninechlorideだからメチレン基は含んでいない.また色素名のうしろにアルファベットや数字を付けることがよくある.これは製造会社の都合で付けられたものが多く,製造する際わずかに異なる化合物の混合が避けられず,手間をかけて純品を取り出す必要性もあまりないというようなときに,色調やその他の性質を現わす符号の代わりに付けられる場合が多いようである.一方,染められる側の組織タンパク質にも固定の項などで見てきたような大変なバラエティーがあって,色調が変化するわけであるから,染色の実施に当たって色素の正確な化学名が必要となるのはもう少し先の日であろう.今のところ染色の化学はほとんど分かっていないと言っても過言ではないのだから.
次によく出遇う符号をあげておく.
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