形態学的検査と技術 血液と病理
わだい
病院での病理検査と特殊染色
岡 輝明
1
1東大病理学
pp.561
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203700
- 有料閲覧
- 文献概要
病院の病理検査室での業務は,大別して剖検,生検,細胞診の3部門から成る.近年の生化学・免疫学の進歩に伴う検査法の改良や精度の向上,あるいは各種画像診断法の発達には目覚ましいものがあり,患者病態の把握がより正確となってきた.しかし,それでもなお剖検によって初めてわかる病態も多く,一方,治療法の変化などによって病像の変貌の著しい疾患もあり,病理解剖の必然性や意義はいささかも低下していない.また,現在でも確定診断における病理組織検査の果たす役割は大きく,生検検体数は年々増加の傾向にある.これらの意味で,日常の病理検査に携わる検査技師や病理医の責任は重大といわざるをえず,より正確で迅速な病理診断のための努力が要求されている.
組織診断を下すうえで最も基本的で重要な染色法は,やはりヘマトキシリン・エオジン(HE)染色で,今のところHE染色に代わるものはないといえよう.しかし,必要に応じて各種の特殊染色が威力を発揮することはいうまでもなく,PAS,アルシアンブルー,アザン-Mallory,エラスティカ-vanGieson,Giemsa,Grocott,Grimelius法,鍍銀法,PAM,鉄染色,Gram染色,結核菌染色,アミロイド染色,ASD-クロロアセテート・エステラーゼ染色などは日常的に頻用されている.中でもPAS,銀,エラスティカ-vanGiesonなどは,HEとともに必須のものであろう.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.