Senior Course 病理
—病理検査の技術と知識—染色 Ⅳ
橋本 敬祐
1
1順大・病理
pp.764-765
発行日 1976年7月15日
Published Date 1976/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917745
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神経組織の染色
神経組織の顕微鏡標本作製に当たっては,まず第1に切り出し部位の確認(墨と筆で直接組織片に書き込むか,テフロンネットで包んで紙片を添えるかする)と,標本作製の目的を明らかにする必要がある.検索の目標としては,細胞構築(cytoarchitectonics),線維解剖学(fiber anatomy)および血管構築(angioarchitechto-nics)の3種が考えられるが,細胞構築は更に神経細胞胞体,軸索,マクログリア,ミクログリア,オリゴデンドログリアなどにより適当な手技を選択しなければならない.固定もそれに応じて変わることになるが,通常の場合は少し濃い目のホルマリンで大抵は用が足りる.局方ホルマリンを10倍希釈した通常のホルマリン固定液でもよく,5倍あるいは4倍希釈を用いる人もある.理想的なのは剖検時両側の内頸動脈および脊椎動脈からホルマリン注入固定を行うことであり,脊髄は髄腔に注入して,しばらくたってから取り出すようにすれば変形が少ない.
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