中検へ一言・中検から一言
数値を生かすための緊密な連絡,他
古田 精市
1
1信州大・内科
pp.516-517
発行日 1976年5月15日
Published Date 1976/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909368
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編集室より臨床側から検査室側に何か一言発言をと依頼されたが,筆者は日ごろから,むしろ検査室側から臨床医に対して積極的に意見を述べていただきたいと考えているものである.メディカルとパラメディカルの両輪が共同して初めて優れた診療ができることは言うまでもないことであるが,特に最近のように各種の臨床検査法が著しく進歩し,その項目も極めて多くなっており,他方臨床医側も専門化の傾向が進みつつある状況においては,臨床医がそれぞれの検査データの意義を十分に理解して受けとめることがややもすればできないこともあるからである.例えば急性肝炎患者の血漿プロトロンビン時間が20数秒といったような値が出た場合に,その著明なプロトロンビン時間の延長を起こす背景になっている肝病変の重篤さの判断が必ずしも正確に行われていないままにそのデータを受けとめている場合もまれでないように思われる.日ごろ多数の検体を取り扱って,それらの数値に慣れている検査室側から,このような異常値を示す疾患の背景について積極的に臨床医側に発言され,採血時の技術的な欠陥による異常か,患者の病態による異常かなどに関しても,緊密な連絡の上に立って検討されて初めて診療上これらの数値が生きてくる.
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