研究
切迫流産の予後判定—HCG判定量とE3
佐藤 仁
1
,
小菅 哲夫
1
,
長島 宏
1
,
中村 慎次
1
,
荒木 康久
1
,
堀口 玉枝
1
,
青柳 智恵子
1
1産科婦人科・佐藤病院
pp.393-395
発行日 1975年4月15日
Published Date 1975/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908936
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はじめに
従来,妊娠反応のホルモン測定は生物学的測定法を用いてきたが今日では,ほとんど免疫学的測定に取ってかわり操作も簡単な免疫学的妊娠診断試薬の出現によって妊婦尿中のHCGの検出は非常に容易になった.妊娠初期のHCGの動態をみることにより切迫流産の予後判定も比較的明らかになってきた.一方,妊娠後期の妊婦尿中に高まってくるエストリオール(E3)の測定キット1)も既に開発され,臨床検査に供されている.E3測定の目的は大部分が予定日超過,後期における児の生存有無,胞状奇胎などをチェックするいわゆる妊娠後半の胎児一胎盤機能検査である.しかし妊娠4か月の時期で既にE3はこのキットにより検出される.ところで妊娠4か月の初期に児の心音はドプラーで100%検出されてくるわけではない.したがってHCG半定量とE3測定値を併用することでより効果的な切迫流産予後判定の補助診断となりうると考え,臨床検査上必要と思われる基礎的検討を行ったので報告する.
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