今月の臨床 産科における検査法—有用性と再評価
妊娠初期
4.hCGの定量で流産の予後判定は可能か
井坂 恵一
1
1東京医科大学産婦人科
pp.804-807
発行日 1997年8月10日
Published Date 1997/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902993
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
hCGの定量は血中あるいは尿中のhCG濃度測定により行われるが,血中hCG測定は尿中hCG測定のように尿の濃縮度を考慮に入れる必要はなく,また血中hCGは受精卵の着床後数日より検出することが可能である。近年その測定法はhCGβ—CTP(C-terminal peptide)を特異的に認識する抗体の開発によって,さらに鋭敏かつ正確になっている.hCGは妊娠経過とともに漸増し,妊娠9週ごろをピークとし以後妊娠後期に向かい緩やかに下降するが,妊娠初期における絨毛細胞からのhCG分泌は,doubling timeが約2日(倍量分泌するようになる期間が約2日)であるといわれ,血中hCG値より作成した回帰曲線から予測する分娩予定日は,最終月経より数えた予定日と約3日ほどのずれしか生じないとのことである1).このことは妊娠初期においてはhCGの濃度により,妊娠日数を数日単位のズレで予測することが可能であることを意味しており,hCGの分泌低下を示す流産例を正常妊娠から鑑別するのに有用ではないかと考えた.以下に流産の予後判定に関してhCGの測定が有用であるか否かについて検討を加えてみた.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.