日常検査の基礎技術
溶血の検査法
三輪 史郎
1
,
宮地 隆興
2
,
米原 ヤス子
3
1山口大第3内科
2山口大中検部
3山口大病院中央検査部
pp.1227-1234
発行日 1974年11月15日
Published Date 1974/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908734
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溶血性貧血は一つの症候群であって種々の病態によるものが含まれている.したがって溶血の検査法はきわめて多岐にわたることになる.貧血・網赤血球増加・間接ビリルビン増加はほぼ必発する所見であり,また赤血球形態の観察は,ここでは取りあげないが,諸検査の前提になることをまず強調しておきたい.
先天性溶血性貧血のうち赤血球膜の異常による遺伝性球状赤血球症では浸透圧脆弱性試験,ヘモグロビン異常,特に不安定ヘモグロビンによるものでは不安定ヘモグロビンの検出,また赤血球酵素異常(欠乏)によるものでは赤血球内諸酵素活性や解糖中間体・ATP・GSH測定が病態決定の決め手となる.一方,後天性溶血性貧血のうち免疫学的機序によるもの(自己免疫性溶血性貧血など)ではクームス試験はたいせつな検査法である.また発作性夜間血色素尿症(PNH)ではHam試験やショ糖溶血試験(砂糖水試験;sugar-water test)が診断の決め手となる,赤血球形態異常の有無は上記諸疾患でもたいせつな手がかりとなることは前述したが,ことに赤血球破砕症候群ではむしろ唯一のよりどころといっても過言ではない.
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