技術講座 血清
溶血反応
竹内 直子
1
1慈恵医大病院輸血部
pp.62-63
発行日 1974年1月1日
Published Date 1974/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200352
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臨床検査に従事していると,検体として受け付けた患者の血液が,赤く溶血していることにたびたび出会う.これは赤血球が反応を起こして溶血しているのではなく(疾病によっては病的反応によって溶血しているものもあるから注意が必要であるが),なにか他の強い刺激を受けて,単にこわれているという現象である,たとえば,採血後注射器の注射針を取らずに,血液を注射器から試験管に力を入れて押し出すと,強い圧力を受けて血球がこわれる.また水など血液と等張でない溶液が混入したとき,0℃以下の温度中に置かれた時,37℃以上の温度中に置かれた時,長時間室温中に放置された時,これらの溶血は,血清学的にいう溶血反応を起こしているのではない.
溶血反応とは,赤血球と抗血清と補体の3つの因子を作用させ,この使用した抗血清(抗体)が赤血球(抗原)と対応している時,補体の協同作用によって溶血(赤血球がこわれる)という反応を起こすもので,一定の方式に従って系統的に希釈した抗血清(抗体-溶血素)の列におのおの必要量の補体と一定量の赤血球浮遊液(抗原)を加え,37℃に一定時間おき溶血の度合いを判定する方法である.臨床診断には,ドナート-ランドシュタイナー(Donath-Landsteiner)溶血反応,ミドルブルック-デュボス(Middleblook-Dubos)反応の溶血,抗-ストレプトリジンO価測定(ASLO)などが応用されている.
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