論壇
臨床検査学の夢
岡田 勝喜
1
1鳥取大検査部
pp.860-861
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908630
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昨年11月,北里大学における検査部合同会議の席上,議長から新参の筆者に検査部のあり方に対する新鮮(?)な批判,論評を求められた.思いがけない質問であったがすぐ思いついたことはやはり臨床病理学と検査部の関係であり,少なくも現在大別して化学,病理,生理の3つの分野は検査部内ではしだいに分離していくのではないか.そうかといって全く独立するわけではなく,緩い結びつきのまま共存するような形になるのではないかというようなことを答えたように記憶している.
臨床病理学とはいかなる学問であるかという点については検査の中央化の歴史とともに関心ある人たちによっていろいろ論議されてきたわけであるが,理屈としてはともかく現実に臨床化学の専門家が同時に外科病理学をこなすことは至難であり,さらに臨床生理にも精通しなくてはならないとなるとこれはもう人間業でできることではない.この点だけを考えてもいわゆる臨床病理学という猛烈に守備範囲の広い学問体系はあり得ないことになりそうである.筆者の専門の生理学について見ると,なるほど近年は学会に出ても少し分野が離れると十分理解できない発表がしだいに多くなっていることは事実である.しかしこの場合いくらかけ離れているように見える内容でも同質のものであることはまちがいないわけで,こうした意味で臨床病理学を見るとどうしても学問的に異質のものが同居しているという以外に言いようがないように思えてならない.
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