Senior Course 病理
症状と病理組織検査(3)—腎性浮腫
三友 善夫
1
1東医歯大・病理
pp.309
発行日 1971年3月15日
Published Date 1971/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907148
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前号に浮腫成因の機序を述べたが,腎疾患の浮腫は病変によって(1)腎炎性,(2)ネフローゼ症候群性,(3)心性浮腫(腎性高血圧から心肥大を招き,毛細血管圧亢進による)に分けられ,その鑑別には尿タンパク,尿沈渣,血漿の生化学的値の測定が用いられ,ある程度の腎病変の種類,程度,活動性を推定している.しかし,腎疾患の確定診断には腎生検が有用である.
電顕法や螢光抗体法まで行なわれる.図が示すように腎は糸球体,尿細管,血管を含む主成分が問題であり,腎血管は栄養血管よりもむしろ機能血管として作用し,腎皮質の血流量が糸球体濾過値を左右し,髄質では浸透圧勾配を形成して尿濃縮に関係する.腎内循環の変化は尿細管のNa,水の再吸収に影響し,糸球体尿細管のバランスを乱す.浮腫の発生には①腎血流量の低下,②糸球体濾過量の低下,③Naの排泄減少(腎静脈圧亢進による水,Naの再吸収の増加)が関係する.図のいずれの部分に病変が発生しても①,②,③の機序で浮腫を生ずる.
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