今月の主題 浮腫と臨床
循環器疾患と浮腫
腎性浮腫
東 徹
1
1北大第2内科
pp.1244-1245
発行日 1977年9月10日
Published Date 1977/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207351
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浮腫の原因となる腎疾患
日常の臨床で,浮腫をもたらす腎疾患を頻度の順にあげれば,次のようになるであろう.①ネフローゼ症候群,②急性糸球体腎炎,③慢性腎不全,④高血圧を伴う慢性糸球体腎炎,⑤腎硬化症,⑥急性腎不全.
ネフローゼ症候群は小児,成人を問わず浮腫を伴う腎疾患の典型的なものである.急性糸球体腎炎は小児に多いが,成人にも時折みられる.小児,成人とも経過がよく,治癒する確率は高い.しかし,発病後10年で,なお50%の症例に尿蛋白があり,13%の症例でクレアチニンが2.0mg/dl以上であったとの報告1)もある.慢性腎不全の末期で,浮腫を伴うのはしばしばみられるが,腎不全の初期でも高血圧を伴い,かつ著明な浮腫をみることがある.水分管理が十分でない急性腎不全では浮腫は必ずみられる.腎機能のよい慢性糸球腎炎では,通常浮腫はみられない.
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