Senior Course 病理
症状と病理組織検査(7)—黄疸-Ⅱ
三友 善夫
1
1東医歯大病理
pp.729
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907266
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黄疸は溶血性黄疸のように肝に直接異常のない場合を除くと,肝外性および肝内性黄疸のいずれも肝になんらかの病変が存在する.
その検索には針生検が用いられ,その対象には肝硬変症(アルコール性,胆汁うっ滞性の病変も含む),肝ヘモクロマトーシス,ウイルソン病,肝癌,Gaucher病やNieman-Pick病などの脂質代謝異常疾患,糖原病,アミロイドーシス,ポジキン病,ザルコイドーシス,薬物中毒,先天性肝線維症などがある.臨床経過や臨床検査の成績から,針生検前につけられた.臨床診断の確認,2,3の想定される疾患の鑑別,全く病変の見当もつかぬ疾患の診断確立のために試みられる.したがって,病理組織標本作製のためにはあらかじめ病変検索の目的に適した固定法,染色法が選択されねばならない.たとえば脂肪肝にズダンⅢ,ズダン黒,オイル・レッドO,ナイル青,オスミック酸染色法などを,また糖原蓄積症ではPAS染色とDiastase消化試験を行なう.針生検の際非常にもろく,砕けやすい不規則な外見を呈する肝硬変症,蒼白で油ぎっており,固定液に浮遊する脂肪肝,チョコーレート色の特異な呈色を示すDubin-Johnson症候群などは肉眼像の特徴によって,臨床診断に反して標本作製法を急に変更することも必要である.
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